畳の張替えは自力でできる?DIYの施工手順について詳しく解説!
畳の汚れやへこみ、そして傷などが目立ちだしたら、畳の張替えを検討する時期です。しかし、作業をすべて本職の方にお願いすると、内容によっては数万円程度もかかるため、自分で張り替えようと考えてしまうかもしれません。そこで、張替えができるのかどうかやDIYの施工手順について詳しく解説します。
畳の張替えを自力で行うのはあまりおすすめできない
畳の張替えは、繊細な作業が苦手な方には難しいため、あまりおすすめできません。また、難しいのは技術面だけでなく、工具や資材の購入にもいえることです。まずは、なぜ自力の張替えがおすすめできない理由を解説しましょう。
■簡単に作業ではない
畳の張替えは、非常に難しい作業です。たとえば、裏面を使うときや新品に替えるときも、畳縁を外して作業します。このような方法を用いる場合は、サイズも正確に測らないといけませんし、そもそも畳縁を再度取り付けるのは非常に難しい作業です。また、畳を最初からつくる場合も少しサイズが違うだけでまったく入りません。
近年は、自宅でさまざまな物をつくる方が増えてきましたが、畳に関する経験者を探すのは難しいですし、たたみ屋さんに聞いても教えてくれるかは疑問です。万が一、失敗したときのことを考えると、DIYによる張替えは控えた方がよいでしょう。
■時間がかかる
仮に材料や工具を揃えられても、張替え作業はたたみ屋さんのように手早く行えません。そもそも畳は手縫いでするため、かなりの技術と経験が必要です。たたみ屋さんが、30~40分程度で終了する作業も、DIYで行う場合は数時間要するでしょう。
■工具や資材を揃えられるのか
DIYするためには、専用の工具が必要です。一般的なたたみ屋さんが使う工具は、その都度購入する方が多く、一般の方が購入するのは難しいでしょう。仮に揃えられたとしても、頻繁に使うものではありませんから、勿体ないような気がします。
また、資材についても同様のことがいえます。一般の方を相手にした販売をする会社を見つけることも困難ですし、たたみ屋さんに相談しても断られるでしょう。
それでも自力で畳の張替えを行いたい場合は?
どうしても自力で畳を張り替えたい場合は、次の方法で行います。張替えをするときは、工具や資材をしっかり調べて、すべてが揃ったら作業に入りましょう。
■畳をばらして準備する
畳の張替えは、まずパーツごとにばらばらにします。畳を外すときは、すべて外すのではなく、一枚ずつがおすすめです。畳を外したら畳床の糸を切断しないように慎重に畳表を取り外していきます。解体が終了したら、新しい畳表をもとの大きさに合わせて切断し準備は終了です。
■畳表を止める
次は畳表の新品を、畳床に止めます。止めるときは、なるべく大きな針を使い、固定したら畳表をゆっくり引っ張っていきましょう。引っ張った後は、畳表をうわ綴じ縫いという方法で縫い付けていきます。ちなみにうわ綴じ縫いは表替え時に使われる方法、新しい畳をつくるときは伏せ框綴じ縫いを用います。
■畳縁を縫い付ける
畳床と畳表を縫い終えたら、次は畳縁を縫い付けていきます。基本的に畳縁の幅は自由ですが、一般的には一寸弱です。縫い方は平刺し縫いという方法、強く引っ張ってから縫うようにしましょう。ただし糸は、締めたりしてはいけません。あまり強引に締めすぎると、見た目が悪くなるので、締めすぎず、緩すぎずといった程度で納めておきましょう。最後は畳縁をしっかり折り曲げて返し縫いを行います。
■隅をきれいに整える
畳の隅をきれいに整えます。この作業は、繊細で難しく、苦労するかもしれません。畳をばらばらにする前に、畳の隅部分の写真を撮り、その写真を参考にするとよいでしょう。畳の隅を縫い終えたら、畳の大きさや不要な糸などを確認して終了になります。全体を確認して畳に穴などが確認できた場合は、霧吹きを少し行ってください。
畳を長持ちさせる方法は?
畳は湿気が苦手なので、こまめに換気をする必要があります。特に湿気の多い梅雨の時期は、除湿器を使用するのがおすすめです。
また、ホコリが溜まると畳の目が傷みやすいので、こまめに掃除をすることで畳が長持ちしやすくなります。掃除機をかける際は、畳の目に沿って優しく使用するようにしましょう。
雑巾掛けの場合は、乾拭きがおすすめです。もし濡れた雑巾を使用する場合は、しっかりと固く絞った雑巾で拭くと良いでしょう。
日本では古くから新聞紙を使って畳の掃除を行ってきました。濡らした新聞紙を固く絞って細かくちぎり、畳の上にばらまいて箒で掃くことで、汚れやホコリを吸着してくれます。
また、畳の上にじゅうたんやカーペットを敷く方もいますが、あまりおすすめはできません。じゅうたんやカーペットは、カビやダニを寄せ付けるため、畳の寿命を縮めてしまいます。
その他にも洗濯物の室内干しや食べこぼしなどもカビやダニを発生させやすいので注意が必要です。机やイスなどの脚がある家具についても、畳の傷みの原因となります。
畳は、春と秋の年2回の頻度で、日陰で風通しすることで長持ちします。
畳張替えの時期
畳の張替え時期について悩む方は少なくありません。今回は、おおよその目安について紹介します。
裏返しについては、2〜5年が目安と言われています。畳床を長く活用するためには、同じところばかり座るのではなく、バランスよく全体的に使用するようにしましょう。
表替えは、4〜7年が目安です。表替えと裏返しは同時に行うこともありますが、基本的に表替えは裏返しから5年の経過を目安に行うと良いでしょう。
畳床は、裏返しや表替えをしながら活用しますが、10~15年経過したら、畳そのものの新調する時期です。ただし、畳にカビが発生するなど、明らかに傷みを発見した場合はその限りではありません。
なるべく畳を長持ちさせるためには、日ごろのお手入れが重要です。風通りを良くして、湿気を溜め込まないように心がけましょう。
畳の上に家具などを配置する場合は、定期的に移動させることでカビを防止できます。畳の張替えの施工期間は、畳の枚数によっても異なりますが、およそ1~7日です。
畳がない場合でも生活できるように、シートを用意すると良いでしょう。
畳張替えの費用相場
畳の張替えは、施工方法や畳のグレードによって異なります。既存の畳の表側をひっくり返す「裏返し」の場合、1畳あたり4,000円ほどが目安です。
一方、「表替え」とは、畳の中身はそのまま利用し、既存の畳の表面だけを張り替えることを指します。費用の目安は、1畳あたり5,000〜20,000円ほどです。
既存の畳は処分し、新しく畳を新調する場合、費用は1畳で10,000~30,000円ほど掛かります。ただし、畳には種類によってグレードがあり、価格も異なります。
畳のグレードは大きく分けると、「下級品」「中級品」「上級品」の3種類です。下級品は、6,000円~、中級品は8,000円~、上級品は10,000円~が1畳あたりの目安となります。
畳の種類には、フチなし畳や琉球畳など様々ありますが、定番の縁あり畳よりも割高な傾向があります。また、グレードの他にも畳表には産地の違いがあります。
中国産と比べると、国産は割高です。しかし、中国産よりも国産の方が長持ちしやすく、長い目で見ると経済的負担が少ないと言えます。
畳の裏返しや表替えは、既存の畳床の損傷が少なく、まだ利用できる場合に行われる方法です。初めて畳の張替えを行う場合には裏返しや表替えでも十分でしょう。
しかし、湿気が多い環境など、畳床そのものが傷んでいる場合は、畳の新調も検討してみましょう。
畳の張替えは業者に依頼した方が安く済む場合も!
DIYの場合は、前準備が大変です。作業するまえに工具を揃え、資材も購入しないといけません。上手に揃えれば、たたみ屋さんにお願いするよりも安く済む可能性もありますが、そもそも工具や資材は揃えるのが困難です。
なにより、張替えは繊細な作業のため、DIYが得意でない方の場合は失敗する可能性もあります。失敗すれば、資材の費用も増えますし、時間も無駄に浪費するでしょう。
■畳の張替えは数年に一度
畳の張替えは、頻繁に行う作業ではありません。裏返しであれば2~5年に一度、表替えであれば4~8年に一度程度の間隔です。さらに新しい畳をつくるのは、10~15年先の話になります。このように数年に一度の作業ですから、高い工具をあえて揃えることは無駄に感じます。
畳の張替えは、たたみ屋さんにお願いしても、さほど高額な料金にはなりません。畳表の裏を使う裏返しなどは、4,000~5,000円(1畳あたり)ですから、工具や資材を揃えるよりも安価で張替えが可能です。
畳の張替えは、自力で行うことも可能です。しかし、たたみ屋さんのようにきれいにできる保証はないため、あまりおすすめできる方法ではありません。畳の張替えは、方法やたたみ屋さんによって費用は大きく変わります。裏返しなどであれば数千円程度で済むので、失敗を考えれば安くなる可能性もあるでしょう。DIYの自信がないという方は、無理に行わずに、たたみ屋さんによる施工も検討してみてください。